一定期間取引が停止し、弁済もない貸倒れについては、回収不能の判断について一種の外形基準を適用して簡素化を図るという趣旨から、基本通達の9-6-3にて、以下の場合は損金として認めると規定されています。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_06_01.htm
- 貸付金などの金銭債権ではなく、売掛債権であること。
- 備忘価額を控除した残額を貸倒れとすること。
- 継続的な取引を行っていた債務者につき、その資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至ったこと。
- 次のいずれかの事実が発生したこと。
- 債務者との取引(弁済期)が停止してから、1年以上経過した場合(担保物を有している場合は除く)。
- 取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
紛争による貸倒れも対象になるのか?
注意すべきは、貸倒れの原因が債務者の資産状況・支払能力等の悪化に限られ、当事者間の紛争などを原因とした場合はこの規程が適用されない点です。
「代理店契約の破棄を理由に支払拒絶を受けている債権」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/02.htm
継続的な取引とは?
また継続的な取引を行っていた債務者であるかどうかは、実際に複数回継続をして取引をしたかどうかではなく、複数回継続される前提の取引であるか否かが判断基準になります。
「通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/06.htm
「取立てのために要する旅費その他の費用」とは?
ここでいう取立費用は、1回の集金のための出張に要する旅費、日当等の実費を指していると考えられます。そのため、かなり少額な債権に限定されるでしょう。