山本公認会計士事務所

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【質問】借入の返済が困難な際、どのように銀行と交渉を進めるべきでしょうか?

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現在はコロナによる緊急融資が積極的に行われているので、借入の返済に困るケースは少ないです。しかしその緊急融資の返済が始まってくる数年後には、事業再生の案件も増えてくるという見方も強いです。

事業再生に関するガイドラインが全国銀行協会から発表されているので、対応の参考になるでしょう。

事業再生計画の策定
事業再生計画の内容は、中小企業者の置かれた状況に応じて異なるが、金融債務の減免等を求める必要がある場合には、実行可能性のある内容であること、金融支援を求める必要性・合理性があること、金融債権者間の衡平や金融機関にとっての経済合理性が確保されていること、さらに、経営責任や株主責任が明確化されていることが求められる。

事業計画を作る際には、以下の点を配慮して盛り込むと、同意されやすくなります。

  • 実行可能性のある内容であること
  • 金融支援を求める必要性・合理性があること
  • 金融債権者間の衡平や金融機関にとっての経済合理性が確保されていること
  • 経営責任や株主責任が明確化されていること

 

また、事業再生計画案は、以下の内容を含むのがよいとして、記されています。
これらを速やかに作成し、銀行に交渉をするのがいいでしょう。

イ 自助努力が十分に反映されたものであるとともに、以下の内容を含むものとする。
・企業の概況
・財務状況(資産・負債・純資産・損益)の推移
・保証人がいる場合はその資産と負債の状況(債務減免等を要請する場合)
・実態貸借対照表(債務返済猶予の場合は必須としない)
・経営が困難になった原因
・事業再生のための具体的施策
・今後の事業及び財務状況の見通し
・資金繰り計画(債務弁済計画を含む)
・債務返済猶予や債務減免等(以下、併せて「金融支援」という)を要請する場合はその内容


ロ 実質的に債務超過である場合は、事業再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から5年以内を目途に実質的な債務超過を解消する内容とする(企業の業種特性や固有の事情等に応じた合理的な理由がある場合には、これを超える期間を要する計画を排除しない。)。


ハ 経常利益が赤字である場合は、事業再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から概ね3年以内を目途に黒字に転換する内容とする(企業の業種特性や固有の事情等に応じた合理的な理由がある場合には、これを超える期間を要する計画を排除しない。)。


ニ 事業再生計画の終了年度(原則として実質的な債務超過を解消する年度)における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる内容とする(企業の業種特性や固有の事情等に応じた合理的な理由がある場合には、これを超える比率となる計画を排除しない。)。


ホ 対象債権者に対して金融融支援を要請する場合には、経営責任の明確化を図る内容とする。また、債務減免等を要請する場合には、株主責任の明確化を図る内容とするとともに、経営者保証があるときは、保証人の資産等の開示と保証債務の整理方針を明らかにすることとする。


ヘ 事業再生計画案における権利関係の調整は、債権者間で平等であることを旨とし、債権者間の負担割合については、衡平性の観点から、個別に検討する。

 

ト 債務減免等を要請する内容を含む事業再生計画案である場合にあっては、破産手続で保障されるべき清算価値よりも多くの回収を得られる見込みがある等、対象債権者にとって経済合理性があることとする。なお、債務減免等を必要とする場合の減免を求める額(DES総額を含む。)の算定については、その前提となる情報等につ
いて誠実に開示するものとする。


チ 必要に応じて、地域経済の発展や地方創生への貢献、取引先の連鎖倒産回避等による地域経済への影響も鑑みた内容とする。

 

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