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有料老人ホームとして貸し付けた建物にかかる経費は、消費税の仕入税額控除が全額認められないのか?

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非課税売上の事業にかかる経費は、消費税の支払があっても、消費税の仕入税額控除が全額認められないのが原則です。

仮に建物を介護事業者に一括で貸し付けていても、居住用に転貸することが明らかであれば、消費税の仕入税額控除が全額認められません。

別紙 認知症高齢者グループホーム用建物の賃貸に係る賃料収入及びその取得費用に係る消費税の取扱い|国税庁

住宅の貸付けは、消費税法上、非課税であり、住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、当該賃貸借に係る契約書等において、賃借人が住宅として転貸することが明らかなときは、当該住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれることから、私が収受する本件建物に係る賃料収入は、非課税となると考えられます。

では、有料老人ホームの貸し付け事業にかかる経費は、消費税の仕入税額控除が全額認められないのでしょうか?

そこで、有料老人ホームの介護事業においては、一部課税売上となる取引があります。

  1. 施設の人員配置が手厚い場合の介護サービス利用料
  2. 要介護者の希望により行われる買い物、旅行等の外出介助及び施設指定外の医療機関への通院又は入院の際の介助費用(送迎等)
  3. 要介護者の希望により行われる買い物の代行で買い物先が施設の決めている範囲外の店舗の場合の代行に係る費用
  4. 施設の標準的な回数を超える入浴を行った場合の介助に要する費用
  5. 寝具の貸与
  6. 要介護者の退去時における居室清掃、カーテンクリーニング等

これらの取引があるため、料老人ホームの貸し付け事業にかかる経費は、共通仕入として、課税売上割合に応じて一部仕入税額控除とすることが可能です。

根拠となる判例は以下のとおりです。

課税仕入れ等の税額の算出 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

 原処分庁は、請求人が締結した有料老人ホーム(本件物件)の賃貸借契約については、法人税法上売買があったものとされるリース取引に該当するところ、本件物件は、入居者が生活を営む場所及び日常生活を送る上で必要不可欠な場所で構成されており、その全体が住宅に該当することから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、非課税売上げのみに要するものに該当する旨主張する。


 しかしながら、本件物件においては、入居者に対して、非課税売上げである居住スペースの貸付け及び介護サービスの提供だけでなく、課税売上げである居室清掃や洗濯等の各種サービスの提供が予定されていた上、実際にこれらの売上げに必要な設備を備えていたことが認められるから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れに該当する。 

 

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