納税者が重加算税を課されるケースは幾つかありますが、そのうち主なものとして「仮装、隠蔽を行った場合」が挙げられます。
例えば以下のようなケースです。
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm
- いわゆる二重帳簿を作成していること。
- 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。
- 簿外資産に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。
- 簿外資金をもって役員賞与その他の費用を支出していること。
- 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。
では従業員が自らの利益のために行った不正な処理(例えば架空経費の計上)により、会社の所得が減り、その結果本来の納税額よりも減った場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、
- 従業員の行為が、法人の行為と同視することができるかどうか?
がポイントになります。判断基準としては、
- その従業員の地位、権限
- その従業員の行為態様
- その従業員に対する管理監督の程度
などを総合考慮して判断します。
単に取締役でもない従業員が行った伝票の偽装などの行為は、会社の管理監督が十分でなかったとしても、会社が行った行為と同一視できないとみなされ、重加算税には該当しないとされます。
不正=重加算税とされがちですが、法の趣旨に照らして慎重に判断することが重要でしょう。