まず注意しないといけないのは、「利益を将来に繰り延べるのは節税になるのか?」ということです。
実は、単に将来に繰り越すだけでは、節税にはならず、かえって税額が増えることがあります。
なぜなら、利益が800万までの法人の実効税率は約27%ですが、800万を超えると約34%になります。ですので、800万を超えない利益を将来に繰り越して、まとめて受け取ると、かえって税額が増えてしまいます。
一応、節税のセオリーとしては、将来に利益を繰り越しておいて、退職金やM&Aをして株式のキャピタルゲインとして受け取るというのは節税になります。給与で受け取るよりも、税率を下げることができるからです。
しかし、その場合であっても問題があります。それは、
- リースなど、将来に利益を繰り越す商品はあるが、それ自体にコストがかかるので、節税の効果が薄れる
- さらに将来に渡って数十年間資金を社外で眠らせることになる
という2点です。
これらの2点を考慮すると、将来に利益を繰り越して、退職金やM&Aの株売却で節税するよりも、毎年法人税を払ってでも手元のキャッシュを増やしておいて、事業への投資や、複利の金融資産への投資で資産を増やすほうがメリットがあることも多いのです。