税務署は「実況区分」という管理区分を用いて、会社を3つにグループ分けしています。(法人課税事務提要H120630-02-03)
第1グループ
以下の全てに該当する、「優良申告法人」のような法人。
- 青色申告
- 期限内申告
- 申告所得金額が、過去5年間における当該国税局管内の有所得法人の平均以上
- 実地調査において当該法人の事業等の実態が的確に把握され、かつ不正計算及び多額な更正等がない
第2グループ
第1グループ、第3グループ以外の法人。
第3グループ
以下のいずれかに該当する、特に注視する必要があると認められる法人。
- 実地調査の結果、常習的に多額の不正計算を行っている
- 実地調査において不正発見に至らなかったが、不審点が残り多額の不正計算が潜在すると想定される
- 代表者等に関する探聞情報等から多額の不正計算が行われていることが想定される
- 重要資料等があり、かつ当該重要資料等以外に調査着手及び調査展開を効果的に行うための資料情報を継続して収集・蓄積する必要がある
- 取引先等他の者の不正計算に加担又は援助していると認められる法人のうち、取引の正常化及び有効な資料情報の把握
- 事業規模等が急激に膨張している
- 他署管内に多数の事業所等を有している
- 同族グループ法人のうち、広域的に事業を展開している
- 海外取引法人のうち、海外取引の規模等からみて
- 大口決定等を行った無申告常習法人
- 多額の使途不明金が把握された法人
- 暴力団に関係がある法人
- 調査困難等法人
- その他調査事務の的確な運営を図る等
各グループの会社の取扱は、以下のように異なります。
第1グループ
- 原則として統括官等が管理
- 継続的に申告内容及び資料情報の分析・検討を行い、判定後における法人実態の的確な把握に努める。
- 判定後の法人実態が変化しその後の状況について確認を要すると認められる場合等は、事案に応じ、実地調査、実態調査又は書面照会等を実施する。
- 申告内容又は資料情報から大口・悪質な不正計算が想定される場合等は、時機を失することなく、深度ある調査を実施する。
第3グループ
- 個々の法人ごとに、その判定理由及び管理の重点事項を把握・整理し、申告内容の分析・検討を継続して行うとともに、積極的に資料情報の収集・蓄積を行う
- 早期に担当者を定めて調査着手及び調査展開を効果的に行うための予備的検討を分担させることが適当と認められる事案については、次により深度ある管理を図るものとする。
- 統括官等は、当該事案について適宜に担当者を定めて長期指令を行い、当該担当者に当該事案管理の具体的な方策を企画させるとともに、必要に応じ、当該管理事務に要する日数を付与するものとする。
- 長期指令を受けた担当者は、速やかに当該事案に係る過去の申告事績、調査事績、他の部門等における有効資料の有無、代表者等の所得及び資産の異動状況等の確認・分析・検討を行うとともに、機動調査担当国税調査官に資料情報の収集を依頼することが適当と認められる事項については、その依頼について統括官の指示を仰ぐものとする
- 長期指令を行った統括官等は、必要に応じ、当該事案の調査に当たり有効な資料情報の幅広い収集について他の職員に周知するなどして、その充実を図ることにも配意する。
- 原則として、深度ある調査を実施する。
概ね、以上のようなものを目安として、運用がなされていると考えればいいでしょう。
管理対象法人
また上記の実況区分とは別に、「重点管理対象法人」というものもあります。
国税局の「資料調査課」の税務署版と言われる「特調班」(法人課税第2部門であることが多い)が調査する、悪質性が高いと判断される法人です。
この法人は連続2回の実地調査で、不正計算がなく、代表者の納税意識や経理体制等から判断して、今後不正計算を行うと想定しがたい法人、にならないと指定解除されない厳しいものです。