法人の株式と同様、個人の事業用資産についても贈与税・相続税の納税猶予制度ができました。簡潔にまとめます。
個人版事業承継税制のポイント
- 承継時の税負担が実質ゼロ
- 事業用資産が対象
- 親族外承継も対象
- 環境の変化に応じた減免、雇用維持要件なし
- 令和6年3月末までに、都道府県に承継計画の確認を受ける必要あり
納税猶予の対象となる「特定事業用資産」
- 宅地等:400㎡まで
- 建物:床面積800㎡まで
- 減価償却資産
これらは、青色申告書のBSに計上されている必要があります。
納税猶予の適用を受けるかどうかは、個々の資産ごとに検討できます。
納税猶予の対象となった特定事業用資産は、廃棄・譲渡する際には税務署への届出が必要になります。
小規模宅地等の特例との重複適用
個人版事業承継税制を選択する場合、「特定事業用宅地等」の小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。どちらかの選択適用となります。
「特定同族会社事業用宅地等」や「貸付事業用宅地等」を選択する場合には、適用できる面積が制限されます。
リスクについて
後継者は、事業を継続させる必要があり、以下の場合を除いて事業を廃止する場合には、納付が必要になります。
- 破産手続開始決定
- 事業継続が困難な場合
- 特定事業用資産を全部譲渡した場合
- 要介護5の認定などやむを得ない理由で事業廃止する場合
- 特定申告期限の翌日から5年経過後の会社設立に伴う現物出資により、すべての特定事業用資産を移転した場合
まとめ
贈与税、相続税が猶予されるのは大きなメリットですが、事業継続要件がありますので、長期的な視点で検討する必要がありますね。